専門医制度委員会委員長に就任して
昭和大学医学部産婦人科学講座
関沢明彦
2024年7月から専門医制度委員会の委員長に就任いたしました。本学会は、母体・胎児専門医、新生児専門医の2つの専門医制度を運営していることから、非常に膨大な業務を担うことになります。そこで、母体・胎児専門医については私が、新生児専門医については高橋尚人副委員長が統括することとして、両分野の専門医制度の安定的な発展のために務めていく所存です。
今期の委員会の最大のテーマは、母体・胎児専門医と新生児専門医の両者で機構のサブスぺシャルティ領域専門医としての認定を受けることです。専門医の基本的な研修プログラムの骨子は、日本専門医機構が定めるサブスぺシャルティ領域専門医整備指針に基づいて、母体・胎児専門医と新生児専門医とのそれぞれで整備基準を作成して規定しています。現在、両専門医とも整備基準を日本専門医機構に提出して機構認定の審査を受けている段階にあり、今後、機構の整備指針に照らして、整備基準の修正を求められ、改定が必要になるものと思われますが、機構認定(カテゴリー1)に向けて取り組んでいきます。
また、機構認定を目指すにあたり、これまでの専門医制度(旧制度)から、機構認定の専門医に対応する新しい制度(新制度)への移行が必要になりました。大きな変更点としては、暫定措置規定の廃止があげられます。旧制度では、基幹施設や指定施設で暫定指導医のもとで研修が行われていますが、この暫定指導医の措置は2029年度で終了することになります。暫定指導医の先生は、2029年度までに専門医資格を取得いただくことで、新制度でも指導医として務めていただくことができます。2030年度以降は新制度に一本化され、基幹施設や連携施設に指導医の在籍が必須になりますので、旧制度において暫定指導医のもとで基幹施設や指定施設に認定されている施設におかれましては、施設としての対応をお願いいたします。ただし、暫定指導医しか在籍していない施設における新制度への移行時の混乱を防ぐため、2029年度までの期限付きではありますが、新生児及び母体・胎児領域ともに独自の指導医認定の特例が検討されています。申請の準備が整いましたら事務局より連絡いたしますので、申請内容をご確認いただきご対応いただきますようお願いいたします。
新制度への移行については、現在、両専門医の整備基準ともに、機構認定されていない状況にありますが、2024年4月以降に研修を開始する専攻医から、整備基準に基づく新制度での研修が適用されます。新制度では研修で経験すべき症例数や、更新時の更新基準が、旧制度と異なります。一方、2023年度末までに研修を開始した専攻医は旧制度で研修を行っておりますので、2029年度までは新旧制度が併存する状況にあります。ただ、旧制度の専攻医は2029年度までに専門医資格を取得する必要があり、取得できなかった場合には、再度、新制度で研修を開始し直す必要が生じますので、該当する専攻医の皆さんには留意いただきたいと思います。
このように、現状は機構が審査中の整備基準を基に、新しい専門医制度が運用されているため、不安定な状況にありますが、施設認定委員会、専門医認定委員会、専門医試験委員会の3つの関連委員会とともに周産期医療の現場における混乱を最小限としながら、社会からも信頼される専門医制度となるように取り組んでいきたいと思っています。本学会の専門医制度が大きな変革の時期にあることをご理解いただき、新制度への移行で全国各地域での周産期医療に混乱が生じることのないようにご協力をお願いいたします。