これまでの予防策の中心は、早産児・低出生体重児・先天性心疾患を有するなどの一部のハイリスク児を対象に、流行シーズン中に抗RSウイルスモノクローナル抗体製剤(パリビズマブ;シナジス®)1)を投与する方法でした。しかし、他のリスク児や健常な正期産児には予防効果が及ばないという課題がありました。
そのような中、2024年に日本国内で、長期間作用型抗RSウイルスモノクローナル抗体製剤(ニルセビマブ;ベイフォータス®)2)が使用可能となりました。ベイフォータス®は、シナジス®と同様に先天性心疾患・早産・新生児慢性肺疾患・免疫不全・ダウン症候群の児などを対象とした有効性が確立されており、単回投与でRSウイルスシーズン全体を通じて防御効果が持続します。
また、2024年3月には、シナジス®の投与対象が従来の対象に加えて、肺低形成、気道狭窄、先天食道閉鎖症、先天性代謝異常症、神経筋疾患、さらには重症心身障害児や医療的ケア児などにも拡大されました3)。
一方、ベイフォータス®は上記のハイリスク児だけでなく、健常な正期産児にも適応があります(2026年4月現在、日本では健康保険適用外)4)。一部の自治体では注射のための助成が行われたり、あるいは定期接種のワクチンと同じように投与したりできるよう国で議論が進んでいます。
ベイフォータス®ならびに母子免疫ワクチン(アブリスボ®)により、すべての乳児をRSウイルス感染症から守ることが可能となっています。
引用文献
1)医薬品医療機器総合機構. シナジス®添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6250404A1020_3_03/ (2026年4月12日アクセス)
2)医薬品医療機器総合機構. ベイフォータス®添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6250411G1022_2_01/ (2026年4月12日アクセス)
3)日本小児感染症学会. 本邦における肺低形成、気道狭窄、先天性食道閉鎖症、先天代謝異常症および神経筋疾患に対するパリビズマブ使用の手引き(2025年追補版).
https://www.jspid.jp/news/guideline/tebiki_2025/ (2026年4月12日アクセス)
4)日本小児科学会. 日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会. 日本におけるニルセビマブの使用に関するコンセンサスガイドライン.
https://www.jpeds.or.jp/society-activities/pediatric-medical-care/vaccination/vaccinations-infectiousdiseases/20587.html
(2026年4月12日アクセス)
